チェーンを見ると思い出す

昔、社会人になって6~7年の頃だろうか、散歩で近くの山(1000mくらい)に登り、下る途中でパンクした。
ちょうど、バンガロー&キャンプ場があったので、駐車スペースで直していたら、管理人さんが様子を見に出てきて、話しかけられた。

管理人:「どうしたんですか?」
わたし:「下る途中でパンクしました、段差のついたグレーチングで底づきしてしまって。」

様子が分かった管理人さん、しばらく自転車を見ていたと思ったら、おもむろに、

管理人:「このチェーンはツ●キモトですね。」
わたし:「えっ? これはシ●ノですけど?」

私はチェーンメーカーのツ●キモトという会社は知っていたし、同業で●イドー社も知っていた。
しかし、自転車チェーンのメーカとしては、当時●イドー(ラナー)は知っていたが、ツ●キモトは製品展開していないと思い、もう一度言った。

わたし:「これはシ●ノが出しているチェーンですけど?」

すると、

管理人:「いえ、これは間違いなくツ●キモトです。私は今は退職してここの管理人をしていますが、それまではツ●キモトにいました。これは間違いなくツ●キモトです。ツ●キモトは産業用や大きなチェーンが中心で、自転車用のような小さいものは今は一般に売り出してはいないけれども、これは間違いなくツ●キモトです。」

私は、それまで自転車パーツの生産フォーメーションについて深く考えたことがなかったし、OEMとか製販分業みたいな会話も、「ふーん」といった感じだったが、ひょんなことから自転車業界の一端を勉強させてもらった。
それもキャンプ場で。
と同時に、この管理人さんが携わってきた製品への愛着、そして務めてきた会社を愛する気持ちを深く感じた。

以上、今から20年ほど前の話です。

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